日々

『王と鳥』

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『王と鳥』(Le Roi et l'Oiseau)  
1980年公開のフランスのアニメーション映画。
監督はポール・グリモー。

少し前にお友達からすすめられていたのだけど、やっとみるチャンスが!
いやあぁ、なんだかとても深くて素晴らしい映画だった。

(以下、簡単に”ネタばれ”してます。)



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砂漠の真ん中にそびえ立つ高層宮殿に、ひとりの王が住んでいる。
王はわがままで冷酷。手元のスイッチ一つで、気に入らない臣下を次々に「処分」する。
何でも手に入れることが出来るはずの王にも一つだけ、手に入れられないものが。
城の最上階にある、秘密の部屋の壁に掛かった一枚の絵の中に、美しい羊飼いの娘。
その子に片思いをしていたのだ。
でも、美しい娘は、隣合わせた額縁の中の、煙突掃除の少年と深く愛し合っていた。
嫉妬に狂う王をあとに、ふたりは絵の中から抜け出し、一羽の鳥の助けを借りて城からの脱出を試みる。
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随分と古い時代の映画なのに。
古いと思いきや近代的な機械、文明の利器がここそこに登場する。
そして、何より根底に流れるテーマが、時代を超えている。

もう、とにかく王の顔と体型と、そして意地悪でえばりんぼで、器の小っちゃいところが気持ち悪い。
王さまはいやな奴だってわかっているけど、へこへこしまくる臣下たち。
だって、機嫌を損ねてしまうと一発で「消さ」れてしまうんだもの。
完全なる独裁政治。

人の上に人がたつということ。
一人の人間が他を支配できると勘違いしてしまうこと。
人と人が争うということ。
大衆には、大いなるエネルギーがあるが、同時にその偏りが思いもよらぬ事態を招くということ。
暴力は、無邪気で単純で、一瞬にして大きな空虚をもたらすということ。

逃げた二人もこの立派なお城の外に出て、何かがあると確信しているわけではなかったろう。
でもこの、この絶対王政の王国にいても、きちんと言葉で説明して、二人が幸せに生きることは、不可能だと思ったんだと思う。
一緒に逃げる二人は、追手に追われ、追い詰められてもなお、その自由を求める強いまなざしを忘れない。
印象的な最後の場面。
破壊、消滅。
残った残骸が、新しい世界を予感させることもなく物語は終わる。

…そして、そしてそのあとは?

アニメとして、悪者退散!みんなは自由を勝ち取ったど~!、ハイおあとがよろしいようで~
…とはならない。
ところがまた、余韻を残すのよね。

いま、一つの国が滅びたけれども、こういうことは、またいつの日か必ずやってくるのだろう。
人間が繰り返してしまうのだろう。
人はなぜ人を支配して、我がもののように扱いたがるのだ。
そうできないときたら、暴力で抑圧したり争ってみたりするのだ。
そして、勝手な人と人の争いに、自然を巻き込んで破壊する。
このシニカルさに、ハッとする。


ん~~~。
ジブリが影響を受けたというのもよくわかる映画。
作品の、芯。心。が沁みた一本でした。
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by desreelove | 2009-11-27 20:28 | 本、映画、絵画、音

2012年4月よりカナダトロントに住んでいます。
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